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また、高齢者の意識も、子世帯との別居志向が高くなってきている。「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」(総務庁:1981年より5年毎調査)によって、「老後における家族(子や孫)とのつきあい方」について時系列でみると、「子や孫とは、いつも一緒に生活できるのがよい」とする同居志向の者が大半を占めるものの、その割合は減少傾向にある。逆に、「子供や孫とは、たまに会って食事や会話するのがよい」とする別居での交流を望む者は、第1回から一貫して増加している(図2−1−5)。家族に対する意識は今後もこうした傾向で徐々に変化していく。

 

図2−1−5 老後における家族とのつきあい方

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資料:「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」(総務庁)
注1:第1回は1981年、第2回は86年、第3回は90年、第4回は96年。
注2:調査対象は、日本の60歳以上の在宅居住の男女。

 

(3)地域社会の変化
家族機能の低下によって、家族だけでは果たし得なくなった育児や介護を社会が支援することが今日の福祉社会のあり方となり、その役割が地域社会に望まれるところとなるが、期待される地域社会がそうした期待とは逆に大きく変化している。特に大都市部における地域社会の変容は著しい。市街地では商家などの職住分離が進み、住民は郊外に流出し、郊外においては、地域と関わる時間の少ないサラリーマン層が増加するなど地域住民の再編が進行しており、かつて伝統的な互助システムや人間関係を持っていた地域社会の役割や機能が現時点では総体的に弱体化している。
こうした地域社会における人間関係の低下は全国的現象で、「高齢者の生活と意識に関す

 

 

 

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